【天声人語】2006年05月21日(日曜日)付 阅读:4569回复:2
「大磯」といえば、吉田茂元首相を指す時代が戦後の一時期続いた。大磯へ年賀、大磯へお中元の挨拶(あいさつ)、大磯へ架電。神奈川県大磯町に居を構えた吉田氏のことを、まな弟子だった佐藤栄作元首相は日記の中で何度も大磯と表現している。
東京から南西に約60キロ。多くの政治家が訪れ、「海千山千楼」と呼ばれた邸宅は、死去から2年後の69年、佐藤氏のあっせんで西武鉄道の手に渡った。しかし維持費が年数千万円にのぼることもあり、同社は町への譲渡を打診.経営再建が急務になった昨年、売却話が本格化したという。 とはいえ町も財政難で、国に買ってもらって保存できればという声が町民の間で強まっている。近くに住み、署名約5万人分を集め、先月首相官邸に持ち込んだ関野好一さん(76)は「自然あふれる庭園がマンションになってしまっては困る」と話す。 英国のチャーチル元首相は吉田氏より4年前に生まれ、2年前に亡くなった同世代の政治家だ。絵画や回顧録について2人が語り合った記録が残っている。葉巻をくわえた愛煙家としても共通点がある。 晩年を過ごした、ロンドン郊外の邸宅はそのまま残され、観光客に公開されている。書棚や机上は、つい先ほどまで本人が書斎にいたかと思わせる様子だ。 大磯も床の間や応接間はきちんと保存されている。しかし残念ながら、書斎はきれいに片づけられていた。押し入れの中に、黒い電話機があった。生前は受話器をあげるだけで、首相官邸につながったという。やってみたが、もちろんどこにもつながらなかった。 朝日新闻社 |
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