つかこうへいさんの「小説 熱海殺人事件」の容疑者 大山金太郎は警察で、容疑者のあり方を記した小冊子を渡される。「自白道」のくだりがある。「調子に乗ってすぐ自白しないこと。起承転結の、古典的骨格にのっとって自白すること……」(角川書店)。
調べ室では、ベテランの木村伝兵衛刑事らが、「平凡な容疑者」を励ましたり脅したりして「一流の犯罪者」に仕立てようとする。その過程が、鋭い文明批評的な視点で描かれる。まさに芝居のように面白い取り調べだが、これがもし、調べが録画される時代だったら、伝兵衛はどんな手を使うのだろう。 最高検察庁が、検事による取り調べの一部を、ビデオで録画 録音する方針を固めた。これまでは「密室でのやりとり」だったから、画期的な変化だ。09年5月までに始まる「裁判員制度」を前に、審理を迅速にするのが狙いという。制度を定着させるための現実的な対応の一つなのだろう。 「容疑者を落とそうとするなら、産婆に当たれ」。静岡県警が、先輩刑事の経験や教訓を後輩に伝えようとして編んだ「刑事の語録」の一項だ。真相を明らかにするためには、自分の足で容疑者の出生から調べるという意気込みを示す。 かねて「取り調べの可視化」を訴えてきた日弁連側は、一歩前進だが警察での録画が必要だという。警察庁は、録音や録画は取り調べの機能を害するとの立場だ。 問題は、どうしたら、適切な調べで真相に早く迫れるかだろう。外国の例にもあたりながら、録画活用の道を探ってほしい。 朝日新闻社 |
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板凳#
发布于:2014-12-05 19:51
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