56年前の客車の座席に、もの言わず腰を掛けている老夫婦がいる。山手線の運転シミュレーション装置を巧みに操る小学生がいる。
きょう閉館する東京 神田須田町の交通博物館は、男性の鉄道ファンを指す「鉄(てっ)ちゃん」だけでなく、鉄子に鉄爺(じい)、鉄婆(ばあ)、まさに老若男女でごった返している。 カメラを向ける対象は、生まれた時代や住んでいた地域の違いによって一様ではない。「毎日の通勤電車だった」「帰省のたびに乗った」。それぞれの思いの残る列車や連絡船の模型に見入る姿があちこちで見られた。 当初の東京駅近くからこの地に移って70年。空襲でも焼け残り、東京大空襲の当日から約10カ月間休館した以外、展示を続けてきた。戦後の来場者数は延べ3千万人近い。遠足や修学旅行で訪れた記憶のある方も多いだろう。老朽化に加え、手狭になったこともあり、閉館せざるをえなくなったという。 明治末から大正初めにかけて中央線の起点だった旧万世橋駅の階段が、館内にそのまま残されている。草むしたホームに向かってゆっくり上っていくと、不思議な時間旅行の気分が味わえる。多くの展示物は来年さいたま市につくられる博物館に移されるが、今の施設を小規模な形でいいから残してほしいという声も、入場者から聞かれた。 陳列されている蒸気機関車C57と同じ年に生まれた菅建彦館長(66)は「閉館間際になって、年配のお客さまが増えました。日本人の鉄道への愛着を強く感じます」と話す。最後の日は特にイベントなどはせず、静かに幕を引く予定だという。 朝日新闻社 |
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板凳#
发布于:2014-12-05 19:51
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