ノルウェーの画家ムンクは、絵の主題として人間の死や病のほかに、性をよく選んだ。乙女と裸の娼婦(しょうふ)と尼僧を一枚に描いた「女性三相」を出展した19世紀末の個展は、激しい非難を浴びたという。「会場のボイコットだとか、警官を呼べとか叫ばれたのである」と、ムンクは述べている(R スタング「エドワルド·ムンク」講談社 稲冨正彦訳)。
個展の会場に現れて、「とても興味深いですな」とムンクに語りかけたのが、既に「人形の家」などで知られていた、同じノルウェー出身の劇作家イプセンだったという。「今に見ていてごらんなさい、私と同じようになりますよ——敵が多ければ多いほど、友人も増えるというふうにね」 言葉の通りに、ムンクは国民的な画家となった。イプセンの方は、近代劇の祖とも言われるようになる。 「人形の家」の女主人公のノラは、夫にこう言い残して家を出てゆく。「わたしたちの家庭は遊び部屋みたいなものでした。わたしは実家ではパパの人形つ子でした。こゝではあなたの人形女でございます」(岩波文庫??竹山道雄訳)。 イプセンが他界したのは、今から100年前の1906年5月23日だった。その2年後に、夏目漱石が朝日新聞に連載した「三四郎」にはこんな一節があった。「イブセンの人物は、現代社会制度の陥欠を尤(もつと)も明かに感じたものだ。吾々も追々あゝ成つて来る」 時は移った。しかし、世の中の制度と人間との間には、悩ましいものがあり続けている。そこに光を当てたイプセンは、今もなお新しい。 朝日新闻社 |
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发布于:2014-12-05 19:53
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