木の皮を煮たり漬けたり裂いたり、長い時間をかけて糸にする。それを織って布にし、帯や帽子に加工する。山形·新潟県境の山村で、70人ほどの女性が受け継いでいる「羽越(うえつ)しな布(ふ)」づくりは、縄文、弥生を思わせる技術だ。
昨年、国の207番目の「伝統的工芸品」に指定された。まとめ役を務めている五十嵐勇喜さん(70)は「公に認められたことで、後継者を育てていく自信がわいてきた」と話す。喜びの一方で、指定に伴って行われる予定の「伝統工芸士」の試験を受けようという人が一人もいないことが悩みだ。 経済産業省の外郭団体の「伝統的工芸品産業振興協会」が実施している試験は、実技とペーパーテストがあり、それぞれ70点以上とらなければ不合格となる。羽越しな布に携わる人たちの平均年齢は約70歳.「40年ぶりとか50年ぶりに筆記試験と言われても、尻込みする者がほとんど」だという。 正倉院は何県にあるか、室町時代の工芸品は何か、伝統的工芸品を所管しているのは何省か。かなりの難問ぞろいだ。全国の伝統的工芸品の産地でも、合格者が数人しかいないところが少なくない。 あくまで名誉的称号で、経済的恩恵がないのに試験を受けるのは面倒だという声が各地で聞かれた。長老が受けないと若手が受けづらいことも、受験者が増えない一因のようだ。 「落とすための試験ではない。勉強するいい機会として受けてほしい」と協会は説明するが、伝統技術を受け継ぐ人たちに筆記試験が本当に必要なのかどうか。現在のやり方はかなり疑問に思える。 朝日新闻社 |
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发布于:2014-12-05 19:54
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